
2024.12.12
2024.12.12
実務
フォークリフトは、複数の荷物を一度に運搬できて便利な一方、使い方を間違えると大きな事故に発展するおそれがあります。そのため、適切な安全対策を講じて、職場全体で安全に対する意識を向上させることが大切です。
本記事では、フォークリフト事故を防ぐための安全対策の方法を解説します。フォークリフト事故でよくあるケースや事故の発生原因についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
厚生労働省が発表したデータによると、2023年のフォークリフトを起因とする死傷事故の発生件数は1,989件です。フォークリフトによる労災事故は2008年以降大幅に減少しているものの、ここ数年間は横ばいの状況が続いています。死亡事故の発生件数も減少傾向ですが、過去5年間で発生件数の増減に波があることを踏まえると、安定して事故を予防できているとはいえないでしょう。
ここからはフォークリフトの事故でよくあるケースを解説します。
フォークリフトの事故でよくあるのが、運転者がフォークリフトの運転台から転落、または車体ごと高所から落下するケースです。実際、厚生労働省の事故事例では、オーダーピッキングフォークリフトでの高所作業中に誤って転落する事故が6件あったと報告されています。また、持ち上げられた爪部分やパレット上で作業をしていて転落するなど、危険行為による転落事故もあったとのことです。
フォークリフトの事故で最も発生しやすいものが、挟まれ・巻き込まれによる死傷事故です。
フォークリフトの操作中は、積荷によって視界が遮られることで、前方の様子が見えにくくなっています。他の作業員が積荷をチェックするために近づいたり、屈んだりした場合、運転席からは相手の姿がほとんど見えません。
他の作業員の存在に気付かないまま操作した結果、積荷などに人が挟まれる事故が発生します。
転倒事故も、フォークリフトの作業中に多い事故の一つです。たとえば、速度の出しすぎでカーブを曲がり切れずに横転するケースが挙げられます。急旋回や濡れた路面、傾斜での運転も、よくある要因です。
転倒事故は、さまざまな場面で発生する可能性があります。転倒によって運転者が車外へ放り出されたり、車両の下敷きになったりした場合は、死亡事故につながります。
フォークリフトの衝突事故でよくあるのは、通行中の作業員が車両に轢かれたり、周囲の作業員の頭上に積荷が落下したりするケースです。衝突事故は挟まれ事故の次に多く、場合によっては死亡事故にもなり得ます。
ここからは、フォークリフト事故の主な発生原因を解説します。
フォークリフト事故の発生原因として、まず運転操作ミスが挙げられます。
フォークリフトには、乗用車と同じようにハンドルやレバー、アクセル、ブレーキが付いており、それぞれを操作することで積荷を運搬します。これらの操作を間違えると、転落事故や衝突事故などの事故を発生させかねません。また、急発進や急旋回といった雑な操作が事故の原因となることもあります。
フォークリフト事故の発生原因で特に多いのが、安全確認の不足です。
フォークリフトの操作時は、運転者も含め周囲の作業員が指さし確認を行い、安全を確保する必要がありますが、実際の現場では疎かになりがちです。前後左右の安全確認を怠ると、他の作業員も巻き込む大きな事故につながります。また、フォークリフトの運転に慣れてきた頃や、疲労などで注意力が散漫してしまっている時など、事故を起こしやすいため注意が必要です。
積荷の落下によるフォークリフト事故の多くは、不適切なパレットの積載が原因です。
一般的な工場や倉庫で使用されるフォークリフト、パレットには、それぞれに決められた積載量があります。規定を超えて無理に荷物を持ち上げた場合、フォークリフトの爪やパレットの安定性が失われ、積荷が落下するおそれがあります。
また、フォークリフトのフォークやパレット上に人を乗せるなど、本来禁止されている危険行為も事故の要因です。他にも、フォークを持ち上げたまま坂道を移動するなど、積荷の確認不足が原因で事故が発生することもあります。
フォークリフト事故の中には、車両の点検や整備の不足が原因であるケースも少なくありません。
本来必要な点検やメンテナンスを怠った場合、フォークリフトが故障する可能性があります。操作中に故障した場合は、正常な走行や積荷の昇降ができなくなり、重大な事故に発展しかねません。
フォークリフトから異音や異臭がする場合は、使用せずすみやかに修理やメンテナンスを依頼することが重要です。もし運転中に異変を感じたらすぐに停止し、現場の監督者に相談しましょう。
フォークリフト事故を防ぐためには、以下のような安全対策を行う必要があります。
フォークリフト事故の防止には、職場全体で運転ルールを定め、厳守することが欠かせません。たとえば、以下のような運転ルールを定めるとよいでしょう。
●
走行速度は10km/h以下を維持する
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積荷で視界が遮られる場合はバック走行をする
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見通しの悪いカーブや交差点では一時停止する
●
下り坂ではバック走行をする
また、フォークリフトの作業範囲を明確に分けることも重要です。フォークリフトの通行区域と人が立ち入る区域を、色付きのテープやバリケードで線引きするなどの工夫をしましょう。作業範囲を明確に分けておけば、フォークリフトの操作中に他の作業員が入ることを防ぎ、衝突事故を避けられます。
上記のように、事故の発生リスクが高い場所を特定したうえでルールを策定し、作業員一人ひとりが事故防止の意識を持つことが大切です。
職場全体で事故防止の意識を高めるため、訓練を実施するのもよいでしょう。
フォークリフトの運転に限らず毎日同じ作業をしていると、つい油断して安全確認がおろそかになりがちです。事故を未然に防ぐには、「バランスを崩すかもしれない」「人が現れるかもしれない」と常に危機意識をもつことが重要です。
あわせて指さし確認や安全な積載方法、誘導員の配置方法なども再度確認しましょう。
フォークリフト専用のドライブレコーダーを導入することも安全対策につながります。
ドライブレコーダーを搭載すれば、万が一事故が発生した際に原因を特定することに役立ちます。また、ドライブレコーダーがあることで作業員が運転ルールを守るようになり、危険行為の抑制が可能です。
フォークリフト事故を防ぐためには、作業員一人ひとりが事故防止の意識を高め、適切な安全対策を講じることが重要です。フォークリフトを運転する仕事を始める方や倉庫での勤務をお考えの方は、常日頃から安全運転を心がけ、丁寧で正確な操作を意識しましょう。
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